初の新入試制度を終えて…

​千葉県公立高校入試の制度が大きく変更して1回目の入試を終えた段階でこの記事を書いています。

コロナ禍であるのにもかかわらず、初の1発勝負でしっかり戦ってきた生徒たちには、講師である我々が頭が下がる思いです。しかし、終わってみて総括すると入試制度の課題が浮き彫りになりました。いずれは改善されるかもしれませんが、現時点(令和3年)での懸念点を紹介したいと思います。決して制度に対する文句ではありませんので(笑)

​①「算出1」の内申点の補正計算廃止

●「算出1」とは?

さっそく謎のワードである「算出1」なのですが、いったいこれが何なのかを説明します。

制度変更が行われる前にあった算出方法で、特に内申点に関係します。というのも、「絶対評価」において内申点のつけ方は学校ごとによって基準はあいまいなところがあります。例えば、ある学校Aで数学80点とった子が通知表で「4」だったけど、ある学校Bでは同じ数学で80点をとって通知表では「5」とつけられる場合があります。もちろん問題内容や難易度の違いがあると思いますが、事実そういうことはよく起こっていました。なので、この学校ごとの内申点の差をできるだけ出さないように点数調整(補正)を行ったのが「算出1」という計算方法です。計算方法は、「内申点 = 個人合計評定値 + 千葉県標準値95 - 在籍中学平均値」です。2020年度入試まで、教育委員会のHPに中学校ごとの評定平均値の表が掲載されていました(詳しくはこちらから)。この算出方法の問題点は、ある程度頑張って良い成績をとった生徒がこの補正で内申点に反映されにくいところにありました。(例:在籍中学校平均値が97だった場合、在籍生徒の内申点は全員一律−2される)

​●「算出1」の廃止による影響

さて、この算出方法が2021年度入試から廃止されました。1回目の入試ではまだどのような影響があったのかは考察しかねるところはあります。現中学1年生・中学2年生から影響が出始めるかもしれません。

このことから懸念されることは、学校によって評価水準がインフレしてしまうことです。ある学校では「5」のつく生徒が多い、みたいな現象になるかもしれません。果たしてそれは入試の公平性を保つことができるのでしょうか?ただし、言い換えると普段から頑張ってきて内申点を高く取れば取るほど、以前よりも入試を有利に持っていくことができるかもしれませんね。「受験勉強は中学3年生からスタート」という認識ではなく、「1年生から準備を進める」という認識を強く持つ方が良いかもしれません。

​②2次募集の倍率から見る今後の動き

●例年には無い倍率

入試制度変更第1回目の入試ということで、全体的な志望校の動向は「安全志向」だったと思います。試験が1回のみなので全体的な倍率は均されたと思います。(参考までに2021年度入試確定倍率[参考:千葉県教育委員会から]→こちら

中身をご覧いただければわかると思いますが、倍率1.00を切る高校が例年以上に多い印象です。特に我々が驚いたのは「松戸六実高校(0.98←倍率)」と「我孫子高校(0.93)」の倍率です。この2校は例年ですと、とても人気があって倍率も高く出やすい高校でした。(ちなみに令和2(2020)年度入試ですと、松戸六実高校の前期倍率は1.88、我孫子高校は1.61でした)様々な要因があると思いますが、安全志向のため少しレベルを下げて安全に合格する高校を選ばれた方が多かったのかなと思います(もしかしたら、中学校の先生にそういう指導をされたのか…)。いわゆる定員割れしている高校は基本的に全員合格になります(例外はもちろんあります)。なので、募集定員を満たすために2次募集をします。2次募集では、一般入試で不合格だった人が、もう一度チャレンジすることができます(参考:2021年度全受験者確定数…34,020、合格者数…29,647)。

●2次募集でも人が集まらず

ではさっそく2次募集の倍率がどうなったのかをご覧ください。

(参考:千葉県教育委員会→こちら/2次募集確定志願者数…228名:全日制+定時制)​

本試験の全受験者確定数から合格者数を引くと4373名は不合格になったはずです。約5%の方が2次募集に出願したことになります。そして、先ほど挙げた松戸六実高校(0.33)と我孫子高校(0.68)に人があまり集まりませんでした。本来、一生懸命勉強して努力した生徒を高校側も来てもらいたいはずですが、これだと試験や面接をやる意味がありません。いったいなぜこのような現象になってしまったのでしょうか。

●併願校である私立高校との兼ね合い

結論から申し上げますと、併願校である私立高校の入学延納金や制服採寸などの日程が2次募集の日程にかみ合っていないので、受検者数が少なくなったものと考えられます。カレンダーをご覧ください。

3月カレンダー2次募集日程.jpg

2021年

3/5(金)…一般試験合格発表​

3/8(月)​~3/9(火)…私立高校入学延期手続き期間(とある私立高校の日程を参考にしました)

3/10(水)…2次募集入学願書提出

3/15(月)…2次募集試験日

3/17(水)…合格発表日

さらに、参考にした私立高校は3/8と3/9に制服採寸日でもありました。

 

このような日程だったので、本当は公立高校に行きたかったけど、私立高校に進学する選択を取られた方が多くいたのではないでしょうか(勉強のやる気の低下も含めて)。もちろん、私立高校の入学延期にかかる費用は仕方ありません(30,000円~50,000円はかかりますが)。しかし、ふたを開けてみたら、またもや定員割れをおこしている高校ばかり…。こんなことなら2次募集の出願しておけばよかったと思った方もいらっしゃると思います(なんだかギャンブル性が強いような気がします)。

 

●今後の影響

このような傾向は今回だけなのか、来年度も続くのかは予想つきません。しかし、現状は2次募集を含めた受験を考えることはリスクが高いということです。そもそも2次募集する高校がこんなに多くなるとは教育委員会も予想つかなかったのではないでしょうか。来年度は本試験の倍率はしっかり均されるかもしれません。また、少子化の影響ももちろん考えられます。高校選びの基準も以前と比べ変化してきているかもしれません。

やはり、しっかりとコツコツ1年生の頃から準備を進めていき、自分の行きたい高校に行けるように努力すべきという点は変わらないでしょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。制度に関しては様々な意見がこれからあがると思います。育進会では、どのような制度になろうが、今まで通りコツコツと準備をするサポートをしっかりしていくだけです。また情報が入り次第、更新してまいります。