くにい2021年7月9日『Kの昇天~或はKの溺死~』 梶井基次郎K君が溺死した理由を知りたいと、K君の友人から私は手紙をもらう。それに対する返事が『Kの昇天~或はKの溺死~』である 私がK君と出会ったのは満月の晩のこと。挙動が不審なK君に近付き、私は声をかけた。砂浜の上で影を見て進んだり退いたりしているのは、影が生物のように見えるからで...
くにい2021年6月25日『聖家族』 堀辰雄九鬼(くき)が亡くなる。九鬼に憧れていた河野扁理(こうのへんり)はその死によって心が乱されていく。 扁理は九鬼の死のあと、細木(さいき)という未亡人と再会し、細木の娘の絹子と出会う。 ―――――― まるで九鬼を裏返しにしたような青年だ。...
くにい2021年6月10日『春は馬車に乗って』 横山利一病床に伏(ふ)している妻とそれを介護する夫。 秋。同じ景色を見ているが、二人の見ているものは違う。妻は松を見ている一方、夫は泉水(せんすい)の中の鈍(のろ)い亀を見ていた。気持ちに波がある妻とは対照的に、夫は強かった。 冬。妻が好きな臓物を彼は探しに行く。鶏の腎臓、家鴨(あ...
くにい2021年6月3日『蜜柑』 芥川龍之介私は陰鬱な(いんうつ:気持ちが晴ればれとしない様)気分を抱えたまま、横須賀発上り二等客車の隅に腰を下ろして、発車の笛を待っていた。 私の他に乗客はいなかったが、発車の笛が鳴ったとき、日和下駄(晴天の日にはく歯の低い下駄)をはいた十三、四歳くらいの少女(本文中では小娘とある)...